「ニュー・シネマ・パラダイス」シネスイッチに行かなった僕は、大都会のミニシアターでも苦境の時代に観る。ベタの匙加減とホリエモンの本当の恩人。

いやー、画質悪いとは思いもしませんでした。
回顧の映画だからと言っても、
「青春デンデケデケデケ」のようにワザと粗い訳でもないでしょ。
 
今はフィルムの時代じゃないんだから、そこはデジタルリマスターしておくれな。

正直微妙な作品だって、リマスターされリバイバル公開されるのだから、
本作が、この状態とは、理不尽に感じてします。
 
どうやら、幾つかのバージョンがあり、

解像度もマチマチなのか。
 
回観た124分版もDVDはリマスターされているが、
スクリーンに映ると、余計に粗さも目立ってしまう。
当に珠に瑕で、もったいない。
 
 
 
いまさら、ネタバレとか気にしませんけれど、
 1.ベタの匙加減とバージョン違いモノ
 2.人生の恩人
 3.母親と不仲だとねぇ
 4.当時と今の鑑賞環境

ちょっと語りたいことを。
ストーリーの話題も多目に。
 
音楽に関しては、期待と違わず。
ヒットの功績の8割くらいはモリコーネだと思いますけど。
むしろ連投させ過ぎのきらいが、やや疑問。ベタだなぁ。
当時TVでも流れた予告編が上手かった。 

気付いたことと言えば、
 ピアノ中心かと勝手に勘違いしており、
 管楽器の曲だと記憶を修正した程度。

語ろうとしても、
これだけ人口に膾炙して、付け加えることが思い浮かばない。
劇場の音響で、ただ静かに聴いてりゃ充分。 
 
 
1.ベタの匙加減とバージョン違いモノ
 私は124分でも、まあまあ長いと感じますが、
 どのバージョンを良しとするかは、好みが分かれるそうです。
 
 恋人の仲を引き裂くよう画策したとすると、
  ノスタルジーに浸るには、ちと物語性が強すぎないか?
 と個人的には疑う。
 
 それは、観客がこの映画に求める事とは別物で、
 カットしたことで、お話の主題もブレず、
 見やすくなってヒットしたと思われる。
 
 それに初恋の二人が添い遂げる物語にはならなそうで、(後述)
 別に長距離恋愛からの消滅で構わんよ。
 そこでメロドラマやられても、感情のベクトルが揃わない。
 ”泣かせ”の威力は、分散されてしまうよ。
  
 メロドラマ方面で泣くのなら、「ひまわり」でも観ればいいし。

 泣かせる映画の音楽は必ず美しい。 

 
 ただでさえ、ベタで胃もたれするのに、
 これ以上説明されても。。
  
 主人公自らがキッチリ断ち切った過去だからこそ、
 郷愁の余韻が立つもので、
 このくらいの匙加減にギリ抑えて、 
 大ヒットに繋がったと想像している。
 (今なら、もっとベタがウケるかもしれない)
 
 ニ時間で、伝えることを整理する。
 映画の脚本で、大事な要素だと思うよ。
 
 
 
 それに、おじいさんの深い愛情は、美しいままで良いじゃない。
2.人生の恩人
 ハッキリ言ってくれた小学校の担任の先生。
  ”君の居場所はここじゃない”

 有名なホリエモンさんのエピソードですが、
 そういう恩人って、なかなか出会えるものではない。
 人間だもの、自分の執着を優先しガチで、
 辛くてもそうアドバイスしてくれる人は、まず居ない。
 
 ”それがあなたの決断なら尊重する” くらいでも稀少。

 
 野茂がメジャーリーグに挑戦するくらいの、片道切符で行って来い。
 自分が辛くても、若者にそうアドバイスできる老人は美しい。

 齢をとると、脳の機能も衰え、未成熟な部分が剥き出しになりガチ。
 満たされないまま齢を重ねると、
 壊れて行っても、本人はそれに気付けない。
 
 心の目で見て、唯一無二の親友にそう伝えた映写技師。
  あのときの決断は正解だったか、
  別の選択してたら、どんな結末だっただろうか。
 
  
 ノスタルジーに浸る、”泣ける”映画ですからね。
 そこは、綺麗な思い出のままで、居させてあげてよ。

 
 
 
3.母親と不仲だとねぇ
 それに、あの金髪碧眼の美人と、
 生涯添い遂げるって話に成りそうに無いし、
 
 成人した主人公が、幸せな家庭を築けそうに無いのは、
 恋人のせいじゃなく、母親との関係を拗らせているから。
 そう見えちゃうよ。

 スターリンが云々とセリフが在ったから時代は、
 ムッソリーニ政権から、戦争未亡人となり終戦。ですかね。
 精神を削られるほど、大変なことは一杯有ったと忍ばれるが、
 息子をストレスのはけ口に使っていた可能性は否めない。
 嫌われるのは仕方無いかもしれない。
 
 その上、嫌っていた映画のことで、
 子供の頃から家計の足しに働くことになるのだから、
 ぐうの音も出ない。親の面目は跡形も無くなる。
 
 戦後復興の労働力として、ナチスも西ドイツも、
 イタリア移民を多数受け入れていたとは知らなかったのですが、
 そんな時代に、子供が手に職で、家計を支え、徴兵され、
 それから復員。
 
  このまま島で一生を終えるべきか、
  自分の人生は他に有るのか、
 そんな帰路が、ローマでの兵役の後に訪れる。
 (ベルルスコーニの頃まで、
  イタリアに徴兵制が残ってたのも知らなんだ)
 そりゃ一度は機会は訪れる。きっと訪れる。気付くかどうかは別にして。
 
 恋人が音信普通なだけでもなく、職が無いだけでもなく、
 自分が支えてきた家族とも、縁を断ち切る決断をしたんでしょ。
 その代償として、幸せな結婚は難しい。
  
 それを昔の恋人とのメロドラマにしちゃうのは、安くねぇか。
 血は水よりも濃いかもしれないのに。
 もう、振り向くなよ。
  肉親切っておいて、
  元カノとの焼け木杭愛憎劇演られても。
 
 年老いた母親は捨てられても、
 遠距離恋愛のカノジョの為なら島に残るの?
 感動するなら、そのクスさも承知で感動出来るのかなぁ。
  
 ”兵役中、実はこうでした” が楽しみたいなら、
 「心の旅路」でも、観たらいいのに。

 
 
 
4.当時と今の鑑賞環境
 シネスイッチの単館上映で、爆発的にヒットした。
 当時は、欧州三大映画祭でグランプリでも、話題に成らなければ、
 ミニシアター上映限定が多かった。
 
 ハリウッドの娯楽作などのメジャー処と棲み分けが出来ていたと思っていた。
 日比谷線に乗ってた。
 アート寄りで尖ってる場合はシャンテ。
 (そう言えば、「聖なるイチジクの種」も東宝のシャンテ)

 (「果てスカ」が真似したような予告でも、
  緊張感MAXのサスペンスが面白そう)

 銀座まで足を伸ばすと、もっと松竹みたいな人情もので、
 やや高齢向きと思っていた。

 同じく、兵役で恋人と別れる「恋恋風塵」は、もっとアートと認識され、

 シャンテで掛かっていたはず。
 
 TVでもCM流れるし、大ヒットは知っていたけど、
 お涙頂戴過ぎて、自分は満たされないだろうと、避けた。
 
 月日は流れ、
 新宿池袋、大都会のミニシアターでも閉館。
 「鬼滅」や「国宝」のメガヒットとは別世界の単館系は厳しい。
 そこそこマイナーな作品もシネコンで観てるし。。
 直近だと、例えば「落下の王国」とか。
 そんな中、
 施設の老朽化や機材の交代が迫ると、やっぱり厳しいのかぁ。。
 
 うーん。
 客の嗜好が、より分かりやすい手堅い作品を好むようシフトしたこと、
 ミニシアターを好む層が高齢化したこと
 そこに、コロナ明けもシニア層が戻って来てないこと、
 
 まあ、
 特殊上映とか、トークイベント付き、など、
 その映画館ならではの体験を、新たな客層に訴求。
 って、ことになるだろうか。
 
 確かに、
 本作が公開された、ミニシアターブームと言われた頃からは、
 明確に市場は変わった。
  

 それでも、変化は悪いことばかりとは限らない。
 個性的な映画館は、まだまだ戦えると信じる。

 本作では、
 徴兵に取られるのは不幸でも、
 それから転機を迎えて、映画を制作の道に進んだ。
 
 演出はやはりベタ過ぎて、私には少々キツイ。
 けれど、
 過去を捨てる決断だからこその郷愁が沁みる。
 
 こういう映画はジジイに成ってからでいいけれど、
 尖ったコンテンツは、頭柔らかい内に。
 とも、逆に思ってしまった。
  

 海外に比べ、文化的支援が弱いという向きもあるが、
 日本は低予算でインディーズにも機会は残っていると思う。
 実験的な作品を鑑賞出来る余地はまだ残っている。
 公共頼みは、Jリーグの来た道。それじゃ有能な経営者は逃げてしまう。
 
 その映画館にゆくべき理由を生み出すことが顧客の創造だね。 
 
 
 本作の前に韓国映画を観たのだけど、

 何も語りたい事が浮かばない。
 マドンソクの割に普通としか言い様が無い。
 隆盛を極めた韓国映画も、Netflixなどに作り手は移ったらしい。
 
 日本は、
 それなりにマーケットが大きく、
 自主独立の中小がひしめくのが特徴で、
 グローバリストの利益に成らないと、目の敵にされようとも、
 ガラパゴスのままで、特徴活かして戦って行きましょう。
 ただし、本人の生きる場所は自分で見つけなきゃね。
 と思った次第。
 
 
 
あなた無しで生きられないとは、言ってない。 

Wantとshouldとcanとが、
重なる場所が本当の居場所だと聞いたことがある。
 
 
 
2025.12.30 現在
 20MAで耐えそうな雰囲気。
 割り込んで、落ちて来たら買いたい。

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