「羊の木」錦戸亮絶賛、富山の魚津絶妙。何より作家性を褒めよう

脚本完成して、キャストとロケーションを決めた時点で、もう勝ちだと思う。
で、吉田大八監督の作家性素晴遺憾なく発揮されて、稀有な日本映画。
ただ、ミステリーとかサスペンスを期待すると肩透かし食らうので、その点はご注意。
ワタクシはヒューマンドラマとしてより、純愛ものとして観ました。
   
   
 
スリービルボード観るか迷ったのですが、以前「美しい星」見逃してしまったので、
吉田大八監督優先しました。良かったです。
脚本、キャスト、ロケーション、それに演出と作家性だと思うんですよ語るべきは。
ほとんど満足なんですけど、一点だけ気に入らないので、それから、
  
 
 
錦戸亮絶賛は当然、しかし木村文乃は要らないんじゃ、、
↓このポスターで主役の錦戸君除いて、一人仲間はずれがいます。

木村文乃さん移住者役じゃないんですね。
で、邪魔じゃないかと、
 
三角関係気味なんですけど劇中。松田龍平とラブな感じがまったく伝わらない。
成立してない感じで、
この二人の関係がぜんぜん「付き合ってる」ように見えない。
木村文乃は松田龍平のどこに惹かれたのか、まったく説得力なくて、

松田龍平はずっと錦戸亮が好きなんです。錦戸亮は木村文乃が好きで。
松田龍平にとって、錦戸亮は初めて無防備に優しくしてくれた人だから、
説得力あるし、その心情ずっと追ってゆくので、分かりやすいのですけどね。

いっそ、木村文乃無くして、高校自体からのバンドサークルだけ残して、
錦戸亮に恋心抱く、松田龍平が参加しようとするで、いいと思う。
 
これだけ濃い役者さん達集めたのだから、華ももう要らないと思う。
 

六人の訳ありな一癖も二癖もある役どころを、一癖も二癖もある役者さんが見事な手腕で演じます。
それに対して、「普通」の錦戸君が受けまくります。
三度目の殺人思い出しましたが、
シュッとしたミュージシャンな役者さんが、怪優達の見せ場をセンス良い呼吸で受ける。
 
主役に彼を据えた時点でもう勝ちですね。
 
でまあ、ワタクシ、居場所の無い、異な人の側の方に感情移入しガチですから、
当然、松田龍平に入れ込みながら観る訳です。
 
あー、しょうがないよね。
人は変われないもの。
「排除せよ」が発動されるともう、オートマチックに処理してしまう。
平和な社会では生きていけない生き物として生まれてしまったので仕方ない。
 
 
ああ、木村文乃が邪魔。
綺麗なだけで、何の取り柄もない女要らないって、どうしても思ってしまって、
そこだけ減点でした。
 
他は、この脚本でこれ以上ないキャスティング。
六槍客の怪演はまずは大画面で堪能できて、1800円の価値はあります。
 
 
 
脚本は文句言う奴は正解示せよって感じです。
ミステリーでも、サスペンスでもないので、そこ勘違いするのは無しとして、
どの位のさじ加減で整理して、2時間に収めるか。
 
もっと人数減らせば、掘り下げできますけど、それこそ「うなぎ」まんまになりかねないし。
(理髪店なのはオマージュっぽい)
オレはオールスターでお得感あったけど、
 
減らせして掘り下げれば、正解か?
うーん、なんとも言えない。

上手く受け入れられる例が二名、
どうしようもなくダメが二名、
オトコ見つけるのが一名、
淡々と一人生きるのが一名、
 
上手く行く例を1名にするくらいかな、できて、
このくらいのバリエーションはテーマ的に欲しい気がする。

ヨーロッパの難民や、アメリカの黒人差別とかじゃなく、
日本にはまだ表現の自由があって、単純な二元論じゃない、それぞれの事情が描けるのだから、
多様性っていうの、それぞれの事情描けた方がいいです。
 
前半はいろんなカード見せて、
後半は、松田龍平メインで、他はサブクエストになっても、
それはそれでいいんじゃないかと、わたしゃ観てました。
  
どうしようもなく、不適合者として生まれたモノが、
束の間、夢を見ることが出来たって、
異世界の住民らしい物語に修練させるのって、悪い判断ではないと思うよ。

 
ただ、事件あったあと、
移住者はどんな立場になるのかは、そうハッピーエンドじゃないかもって、気はしますけどね。
ああいう街じゃ噂はどんどん広まるでしょうし、居場所確保し続けられるかどうか、
 
移民問題って、事件起こってからが、問題化するからねぇ。
閉鎖性が効くシーンは観たかった気がする。
  
ま、難しいバランスをよくまとめたと、ワタクシは評価します。
大変だったと思います。
 
 
 
富山県魚津市という絶妙 
日照時間の乏しいどんより感を選んだのが快挙。
原作は九州方面らしいですが、 
このどんより感は、日本海側ならでは。
 
エンドロールの最後で、
灰色の雲と雲の間に僅かに差し込む光が、希望的なんですけど、
何もかも上手くいきそうってほどじゃない感じが絶妙です。

金沢や秋田でしばらくお世話になったことありますし、
富山も何度か訪れましたけど、  
 
魚旨いし、人はいいし、
水も米も酒も旨い。

で、日照時間短く、クローズドな土地柄で受け入れって絶妙ですよね。
 
富山だけでなく、海岸方面は輪島でも撮ったらしいですけど、
北陸の街並みはチリひとつなく、奇跡のように美しい。

で、
中心地から過疎進行して、郊外は車社会で持ち家な感じが、受け入れで補助金な説得力あります。

お祭りの感じは与論島思い出しましたけどね。
お面被って。風強くて雨降ったりして、寒いのにこの場所なのは仕方ない。
振る舞われたお酒でも飲んで温まろう。
与論島だとサトウキビの焼酎ですが、富山だと銀盤かよ、ラッパ飲みすんなよもったいない。

エビスっていうんですか、海から異なモノが流れ着く感じ、映画はフィクションですが雰囲気ありますね。

エビスと言えば、魚旨いといいつつ、カレー食ってましたが、

ああ、カレーといえば金沢じゃなく富山だな。
中古車送る港だから富山は、ロシア人とか、パキスタン人とか、バングラ人とかよく居て、
港からの国道沿いにお店ありました。
本場のカレーはたまに食うと旨いです。お米も長かった。
  
 
「市役所の職員なのに、なんでいい人居ないの?」って的なセリフあるんですけど、
そのセリフにリアリティ感じるかどうかでも、
この映画の評価は、変わってくるんじゃないかな。
 
罪を背負ったものが、10年この場所に馴染んで、居場所見つけて生きる。

受け入れる方だって、移住者ウエルカムで大麻村になっちゃうケースだってあるんだし、
切迫感ありますよね。
 
 
ああ、個人的には宿題終えたら、
住み慣れた暖かいとこに帰りたい。
なんか、やっぱりこの国馴染めないし。
 
でまあ、どうしようもない宿命な純愛。松田龍平良かったな。
岬と言えば、能登半島の最果て、狼煙思い出します。 
 
どんよりと荒々しい日本海でこそと思いました。
 
 
 
同化出来なくても、折り合いつくかな。
ワタクシの場合、東京でいまだに、サラリーマン文化に馴染めません。

今までとはちょっと違う仕事やろうかと思ったですが、
立派なこと言っても、実態がそれじゃあ、クオリティ・コントロール出来ない。
誰が顧客で、何を提供して対価を得るって発想希薄だよね。
組織に属していることが最優先で、そういう面倒くさいことは組織が考えてくれる。
実態とタテマエにギャップがあっても、それは組織が考えることで、組織への忠誠とは関係ない。

そんな閉鎖空間にまた嵌りそうになって、
人は変われないから、それはもう無理だ。って、辞退させて頂く。
 
まあ、結局、異なものかどうか、信じられるかどうか、よりも、
好きかどうか。それが決定的だね。

好きになれないものはムリ。好きでもムリかもしれないけど、
好きなら上手く行くことだってあるかもしんない。
 
 
欧米の映画みたいに安いとこに落ちないヒューマニズム。
日本映画で堪能しましょう。

  
 
質問コーナー、お問い合わせは、sanpome.net@gmail.com まで。

  
 

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