映画「心と体と」 金髪美女だから成立してる気もしなくはないが、、 ハンガリー映画の傾向も感じる。(ネタバレします)


ベルリン金獅子賞だが、寝ちゃっても仕方ないとも思う。横の観客は熟睡してたし。
ハンガリー映画は二度目なんだけど、映像へのこだわりは傾向なんでしょうか、
あと、カウリスマキっぽい感覚とか。
 
最近、株の勉強三昧で、久しぶりに休日映画鑑賞です。
近所の帆立屋でいい感じに酔っ払ってから、鑑賞しました。
 
 
 
この映画は、鹿10%、映像30%、他のキャスト10%、
あとは主演のべっぴんさんで構成され、成立している。

ストーリーは端的に、ちょっと特殊な女性が恋に目覚める、ある意味成長物語。
 
ちょっと特殊とは、
アスペというかサヴァンというか自閉症というか発達障害というか、
「レインマン」のダスティン・ホフマン的なアレである。
 
 
瞳孔開きっぱしの特殊な人の演技。
美しくてかつ、内面と外界への接触のありようを抑制効かせながら豊かに表現している。
 
 
ただ、
美人じゃなくてもイイ話と鑑賞できるかな?
その疑問が常に頭の片隅から去らない。
目も覚めるような、掃き溜めに鶴のよう美貌だけに。
 
例えば、主演がサリー・ホーキンスだったらどうでしょうか、
完璧な演技で完璧な表現してくれるとはず、
伊藤潤二のマンガとか、ハンターハンターのパームみたいなルックで。
 
 
美人じゃなかったら、ただ怖いと思うんだよね。
ハッピーエンド風に終わるけど、絶対上手くいかないと思うもん。
 
リリー・フランキーが演じそうなショボクレた初老の男、
あんただって、面倒くさい系の人間なんだから、深い仲になればなるほど大変だよ。
別れたくても、綺麗に別れるのはムリだよ、刃傷沙汰。
 
あのオンナは絶対に止めとけ。
 
 
まあ、その辺はいろんな意味で映像のマジック。
綺麗さに騙されたくないと思って、ずっと見ていた。
 
 
リリー・フランキーなオジサンの方だって、魅力感じる人物でもない。
それがこの映画の奇妙なところ。
財務部長と字幕にあったけど、やってることは総務部長みたい。
山口六平太みたいに組織の雑務を処理してる。
そこそこ優秀で手堅い中間管理職って感じ。
 
「ダメだけど実は」的な要素もないし、平均点の人。
そこそこ利己的でもあるから、私生活で孤独なのは自業自得だし、
それが不幸とも一概には言えない。
 
 
このオジサンを恋の対象に選んだのは、半魚人に恋するより奇抜。
同じ鹿の夢を見るから。というスピリチャルなソウルメイト的理由一点による。
 
「敢えてのハズし」って感もあるし、
潔いっちゃ潔いけど、感情移入は困難だなぁ。
 
男女どちらの視点でも、愛おしいと思えないんだなぁ。
ある意味「勝手にふるえてろ」のキャラクター造形と対象的だった。
 
 
まあ、だからこそ、
聖なる性なる野生の鹿にフォーカスオンして見てねっていう。
監督のメッセージかもしんないけど、、
オレはダメだな、ドッチの視点でも。
 
男としては、あんな面倒くさいオンナはどんな美人でもムリだし、
女だったら、善人でかつ大人の分別もあるオトコに惚れたい願わくば。
 
 
そこクリアできて、静謐なる精神の世界に同調できれば、高評価と思う。
 
 
 
映像とカウリスマキ風味。
偶然かどうかしらないが、
ハンガリー映画って、映像に拘るのね。
鹿は3ヶ月訓練して雪深い森で撮ったらしいけど、
屠殺場の日常生活のカメラの使い方も、なんかスゲエ。
 
三度目の殺人」が賞獲れなかったのは、
雪山のイメージショットが、ここまで凄くはないからかな。
とフト思ってしまった。
 
 
日常の衣装との色の合わせ方とか、パステルちっくな青とオレンジで、
ハンガリーの色彩感覚って、やっぱカウリスマキっぽいのかな。
 
それと、笑っていいものかどうか、
フリークス的なシーンを必ず挟むよね。それとダメなレストランとか。
間が日本人の感覚とは違うので、
あれで笑うのは、日本人には難しいと思うんだけどなぁ。
 
 
あ、それからハンガリー映画といえば、
刑事は必ずいい味だしますね。
あとブリブリにエロい女医さんとかも良かったです。
 
端正とは言えないけども、いい感じでエロい。東欧っぽくない。
ヒロインとのコントラストとしてもとてもいいキャスティングでした。
 
 
 
鹿と牛とメタファーと
鹿→精神
牛→肉体
 
ってのは、深読みっていうより、むしろ浅読みじゃないかな。
ハズレているとは思わんけど。
野生と家畜の対比って意味が大きいと思うんだよね。
 
 
厳しい環境でも、解放された自由で、聖なる性なる領域。
日本でも昔から、鹿は神聖な生き物だし、
鳴き声は性交の比喩だし、強精剤だし。
 
 
一方で、
「およげたいやきくん」的な管理され、いずれの死を待つ生きてるだけの生長。
残酷で現実的な日常の生を上手に表現してますよね。
 
あのオジサンと愛し合うのが、
活きるラストチャンスってのは、なるほどと。
 
 
ま、だからといって、
夢を共有するのはソウルメイトの証だからで、このカップリング処理するのは、
わたしゃ、乗り切れないですけども。
サリー・ホーキンスだったら、辛くて2時間持たない気が、、、
 
 
現代のおとぎ話と、そこ乗り越えられたら、高評価だと思います。
ハンガリー映画は人を選ぶものかもしれない。
 
 
 
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