書評、映画評など」カテゴリーアーカイブ

直木賞作家の漫画デビュー「人生がそんなにも美しいのなら」荻原浩が息長く活躍できる理由。「楽園の真下」「それでも空は青い」「ストロベリーライフ」「海の見える理髪店」「ギブ・ミー・ア・チャンス」

驚いたのは憶えている。 昨年、直木賞作家が漫画の短編集↓「人生がそんなにも美しいのなら」を出版した。 今は、小説のみならず漫画も描いているのか。 前回の井上夢人と対象的に、荻原浩は寿命の長い作家である。 決め球を磨きながら多彩。ヤクルト石川雅規のよう。   最近小説をよく読んでいるので、まとめて何冊か併せて読み直してみた。 その特徴的な技能と生存戦略に想いを馳せつつ、レビューします。     渡辺謙が映画化した↓「明日の記憶」でブレイク … 続きを読む

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祝本屋大賞発掘部門 井上夢人を今振り返る。 「岡嶋二人盛衰記」「メドゥサ、鏡をごらん」「風が吹いたら桶屋が儲かる」「99人の最終電車」etc

2024年本屋大賞の発掘部門で、井上夢人『プラスティック』が選出された。 私にとって、懐かしい名前。 寡作で、寿命短めな作家だったのは、残念だった。 爆笑問題のような世界線もあったかもしれない。 それはさておき、    小説のメタに対する挑戦。みたいなことは、 今、小説にお金落とす人達には、流行らないかと思っている。   自分の頭を使ってなお、正解が不明瞭なコスパの悪さ。 現代において致命的な弱点かと。 SNSでプロパガンダ飛び交う、相 … 続きを読む

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辻村深月「ぱっとしない子」「鍵のない夢を見る」結局は才能。だけど芥川賞は獲りにゆかない生存戦略。

「かがみの孤城」や「ハケンアニメ」の原作者なのは知っていた。が、 ラノベとまでは言わないが、ジュブナイルものを主戦場とする作家だと思っていた。 本当は、”大人の鑑賞に耐える”も幾らでも書けるはず、 文学寄りの方が需要大きれば、そちらを選ぶと思われ。 中高校生向けも多いので、 人間描写よりも、ストーリーの面白さで勝負してるかと思っていた。 読む前は。   俯瞰できたり、複数の視点を持てる人はいるけれど、 主観を憑依のように表現する筆力は圧 … 続きを読む

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面白い物語3要素(感情移入、中心に謎、カタルシス) 「成瀬は・・」以外にも「黄色い家」「可燃物」を例に。映画「6人の嘘つきな大学生」は「ある閉ざされた・・」の二の舞回避できるか? ワクワクの始祖編は三国志。 

先週、今週と相場の動きを追えず、お休みしており、 たまには小説でも、と過ごす。 その前に、「成瀬は・・」の続きで、  面白い物語とは? も調べる。   結果どうやら、面白いストーリーの3要素があり、 それは以下のよう。  感情移入  共感→感情移入→没入(擬似体験)の順  中心に謎  物語の推進力となる大きなクエストの謎   カタルシス 下げてから上げる   参考文献 脳が読みたくなるストーリーの書き方 「面白い」のつくりかた ポルノ作 … 続きを読む

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札幌ドームと儒教 5月3日は憲法記念日なので振り返ってみた。

前回の続き、 戦中の意思決定はまるで、札幌ドームのよう。 そう思えば、すべて合点がゆく。   昭和の軍人はただの官僚である。  ペーパーテストで採用され、組織内の出世を勝ち抜いた。 戦争することしか能が無い官僚。 経済も外交も専門外、しかも戦争の実践的知見も怪しい。   官僚は失敗を認められない。損切り出来ない。 日ハムに逃げられたのは大失態。 素直に敗北を受け入れて、解体すればまだ良いものを、 新モードから黒字転換という、経営素人以下 … 続きを読む

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「成瀬は天下を取りにいく」は面白いのか? 5大要素(プロット、キャラ、ストーリー、演出、技工)+アイデアで読み解いてみる。

今年の本屋大賞の本作、大人気らしい。 オーディブルで無料なのはありがたいが、 何度も寝落ちして、ようやく「さよなら西武大津店」だけは聴き終えた。  成瀬は普通。物語の興奮とシンクロできない。無理  語り手のネチネチした視線が息苦しい。日本は住みにくい  長い割に情報量が少ない文章、ラノベは睡魔に抗えない   駄目だった理由を並べるのは、たやすい。  が私にとって、つまらなくても、 多くの人に支持され、面白いと言われる理由は分析できる気が … 続きを読む

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「オッペンハイマー」若干の矮小化も概ねクールで公平、日本の論調は戦後教育の洗脳の勝利。

前回のとおり、予習し、日曜日観てきました。 史実なのでネタバレとか関係ないので、予習してから観たほうがいいです。 それで大筋を掴み、置いてけぼりにならなければ充分。3時間飽きません。 細部まで全て把握しようとしても無理で、作り手はそれを意図してもない。 休日なので良く埋まって、最前列で観ました。 途中トイレに行く人も多く、横切られるのはウザかったですが、 それでも、映画鑑賞としては楽しめました。 公平な視点で完成度高く、絶賛も納得でした … 続きを読む

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予習と逆張り 映画「オッペンハイマー」

大手配給は腰が引けて日本では鑑賞できなかった作品が、 アカデミー賞効果とビターズ・エンド社のおかげで、ようやく公開された。 まだ観ていない。 ここで予め、 映画館へ足を運ぶつもりで、書き出しておこう。  幾ばくかの予習と、  日本人の多くの感想の同意できない部分を。  そして、作品への疑問点が二つ。   まだ寒いので、外出が億劫。 3時間というのも敬遠する理由。前後編に分けて欲しい。      予習 史実の確認と映画で描かれること ナチ … 続きを読む

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シナリオ作家協会の検証「イッツ・オンリー・トーク」/「やわらかい生活」 人間関係不得意なら「笑いのカイブツ」自己完結を目指す。

シナリオ作家協会さんは、  何故シナリオ作成してから動画撮らないのだろうか?  ”とうとう出たね”的なSNSのオウンゴールを教訓にしないのだろうか?  UPする前に誰もチェックしないのだろうか? そんな疑問も湧き、過去のトラブルにも注目してしまいました。  最近ようやく、  人間は学習しない存在 だと受け入れた方が生きやすい。 と学習し始めた私は、 吉本はじめ、日テレや小学館は、  無視が最適と学習したのか、  社会的信頼を失うことに無 … 続きを読む

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原作問題と自殺の責任は別と思うが、テレビは何故、身内を庇って炎上させるの好きなんだろう?「カラオケ行こ」「アルキメデスの大戦」「ミッドウェイ」

原作モノといえば、口コミは効いてるみたいだけど、 ヒットして欲しいですね。 オリジナルパートも素晴らしく。 音楽に過剰な役割を負わせず(by宇多丸)、紙面にはない説得力。  山下監督らしい、”卒業”までの限定的な時間空間での人情の機微を描く。 綾野剛の底知れないヤクザぶりも秀逸、 原作通りならいいのか? じゃあ漫画だけ読んでろよ。 作品のクオリティと忠実かどうかは別。 そんな気持ちにさせてくれます。    忠実な実写化でクオリティも高い … 続きを読む

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