情熱は有るが才能は無い! 爆死アニメ「ChaO」は配信を待つ。才能は漫画からで充分。 インディは”弱者の戦略”で生きるべし。 参考 「多田翼:差別化戦略 と ニッチ戦略」 「伊藤あおい脱力系テニスの正体とは?」 

大爆死と話題のChaO、キャラデザ以外が普通過ぎて語れない↓。らしい。

 
映画館で予告編↓を観て、これは厳しいだろうと予想した。

理由は以下。
 1.物語が致命的にダメ。キャラの感情と観客の感情の違いを知らない
 2.松本大洋&「One piece 魚人島編」&「ポニョ」独自の才能が無い
 3.絵に労力掛けても、演出には真剣に取り組んでなさそう
  
予想が当たったかどうか、気にしていた。
評価が落ち着くのを待っていたら、
もう打ち切られてしまった。
配信を待って、実際を確かめるより手段は無いので、
今は、せめて予想を披露しておきたい。
 
  
1.物語が致命的にダメ。キャラの感情と観客の感情の違いを知らない
 自分で設定しておいて、”魚が喋ったー” はないだろう。
 自作自演にも程があると、予告編の冒頭で呆れてしまった。
 
 この監督は、キャラの感情と観客の感情が別ものだと、知らないのだろうか。
 

この2つは、きちんと区別して理解しておいた方が良い。
例えば、喜劇の登場人物が困っているとする。しかし観客はそれを見て笑う。
あるいは、スリラー映画の登場人物がいたって冷静にしていたとしても、観客は彼が気づいていない脅威を見せられているので、ドキドキしているということもある。
感情は大事だということを良く理解していない脚本家は、登場人物の感情に重点を置き過ぎてしまうことが多いので、気をつけなけれなければならない。
登場人物を泣かせれば、観客の憐憫を煽れるだろうと思ってしまうわけだ。その登場人物に感情移入していれば、観客も泣くかもしれない。
でも、それだけでは足りないのだ。登場人物が激しい感情を剥き出しにしているのに白けてしまうという映画は何本も見ているはずだ。
心が震える理由がなければ、客は飽きてしまう。
あなたが書いた登場人物が泣くかどうかは、あまり重要ではない。重要なのが脚本を読んだ人が泣くかどうかなのだ。

 キャラが驚いて見せれば、客が驚くとでも思ったのだろうか? 
 脚本にクレジットが無いことからも、
 如何に御座なりに物語を作ったのかと、想像される。
 専門家を登用した形跡は無い。
   
 アニメのオリジナル作品で、お話が破綻しているケースは多い。
 原作ものなら、アニメが製作される遥か前に、厳しい評価に晒されている。
 本作はよくある設定を借りて来ただけ。だろう。
 おそらく、世界観もストーリーもデジャブ。
 キャラデザは一見、オリジナルっぽいがインスパイア元が透ける。(後述2.)
 
 もし、そんな予想が当たっていたら、
 そこまで客を舐めては、興行的な成功は難しい。
 監督は、客を舐めているという自覚は無さそうで、そんなメタ認知力は無いのかも。
 
 自分で自分の情熱は解決すればいいのに。。7年は拗らせ過ぎ。
 アニメは多くの人を巻き込むからなぁ。
 スクリューに網が絡んだら、最初にエンジン切れよ。
 
 
2.松本大洋&「One piece 魚人島編」&「ポニョ」独自の才能が無い
 本作を製作したSTUDIO4℃は以前「鉄コン筋クリート」↓をアニメ化している。
 
 原作はもちろん松本大洋で、監督も外部から招聘している。
 
 そこに、「One piece 魚人島編」↓のキャラ造形をプラス。 
 
  こちらは尾田栄一郎のデザインセンスでサブキャラも引き立つ。
  群像激のであり、サブキャラも目立つ必然がある。
 
 混ぜてはイケない。監督は絵のセンスも無い。労力だけ。
 不評のキャラデザは、確かに魅力も必然性も感じさせてはくれない。
 群像劇でもないのに、異形のヒロインを埋もれさせる脇役たち。
 オリジナリティ無い人が、無理やり個性出だそうと奇を衒う。
 アニメに限らず、そんな典型例だと、
 予告の段階で残念に思っておりました。
 
 その上、「ポニョ」以降だけでも、
 この手の話は散々コスられて来たので、
 才能を予感させるものは何ひとつ、感じられません。
 絵以外には、ヤル気も能力も無さそうと想像してしまう。
 

3.絵に労力掛けても、演出にも真剣に取り組んでなさそう
 7年も掛ければ、自分が満足する映像表現は出来たのだろう。
 が、演出が伴わなければ、客の心は動かない。
  
 設定と物語(参照1.)以外でも、演出がベタで普通なのが気になった。
 客の感情を動かすという根本に、真剣に取り組んだ形跡が無い。

 絵が意識高い系なら、演出にも拘りがありそうなもの。
 そうすると、分からないと客から非難される方が通常。
 ところが、演出は意識低い系。ギトギトのベタベタ。
  主人公が、ヒロインへの愛に気づき、体を張るシーンでも、
  やっぱり、叫ぶ。
 作中人物が感情を爆発させたからといって、想いが客に伝わるものではない↓。
 
 漫画だったら、
 演出がダメで読者の心を動かせなければ、打ち切られてしまう。
 アニメ化には至らない。
 
 絵と演出、どちらも意識高い系で初めてアート系。
 予告編を見る限り、
 見どころが有るとすれば、映像表現だけだろうな。
 そう判断せざるを得なかった。
  
 
 
プペル」は、興行成績にも、クオリティにも、 
最終的にキンコン西野が、全責任を負えばいいのだろうけど、
本作、
 10万枚超の作画(AI説もあるけれど)で、
 興行的に大コケで、
 作品の評価も芳しくない(賞を獲ったとはいえ)。
その矢面に立つのは制作会社だろうか。
とかく、
ブラックな労働環境で、やりがい搾取と言われガチな業界
これで、悪い予想通りなら、目も当てられない。
 
  
PRの失敗とか、敗因に挙げられていますが、
問題はもっと根本的なところでしょうよ。
 
そもそも狂気の沙汰。 
 ファンも付いていないインディ系が、
 300館の公開規模で、
 「鬼滅」に真っ向勝負挑んで、
宣伝でどうなるもんでもないでしょ。
 
原作ものと違い、オリジナル作品は売れない。
そのことを懸念する声もあるようですが、
違うでしょ。
実写なら、
 ゼロからファンを創造した「カメ止め」「侍タイムスリッパー」の大ヒットも。
アニメでは、
 新海誠ですら最初は無名。
 原作ものとは言え、微弱な影響力の、
 「この世界の片隅に」「モノノ怪」はファンの獲得に成功した。

原作ものは、
 作品の質が担保されている。
 ファンが付いている。
作品ごと程度の差こそあれど、確かに有利。
で、
アニメの世界に、
物語をゼロから作る才能ある人材が、そんなに居るの?

そんな才能有るなら、サッサと一人で活躍してよ。別の業界でいいから。
ルックバック」はつくづく罪深いと思う。
 主人公は藤本タツキの投影で、
  子供の頃から物語を紡ぐ天才が、
  努力で画力も次第に向上させ、
  売れっ子漫画家として、
 成功するストーリー。
 なのに、
 才能無い自称クリエータ達を勘違いさせてしまう。 
 
 
脱線してしまった。
絵も物語も優れた才能なら漫画描いてよ。自分一人で存分に表現出来るのだし。
組織の中で創作に携わったら、才能が潰れてしまう可能性もある。
 
やっぱり、
アニメを一人で作るのはまだまだ大変で、それこそ新海誠は例外。
堀貴秀↓はレアケース過ぎて、参考にならない。

才能は漫画で開花して、
然る後に、
資本と組織の力で、アニメ化してくれれば充分。
”原作ものばかり”と、嘆く必要は全く無い。
寧ろ喜ぶべきこと。
才能が埋もれること無く発掘されたのだから。
それを愛でれば充分。それでいい、それがいい。  
 
 
本作は、
 巨大な資本が入って、AIも駆使した突貫工事なのか、
 アニメータがコツコツ創作し、低予算ながら制作会社が公開に漕ぎ着けたのか、
観てもいないので、断定は出来ないが、 
後者だった場合、取るべき弱者の戦略について考えた。
 
  
「差別化戦略」 と 「ニッチ戦略」 を解説↓。

 そもそも大手とは戦いを避ける。
 ニッチに聖地シネマ・ロサなどで掛かることを最初は目指そう。
  そこでファン獲得を目指す。
  評判になり名前が認知されれば、強者への道も開ける。
 
 とは言え、
 どんなジャンルでも競争に晒される。
 映画館に足を運ぶ客は、時間を費やす対象を選ぶ。
 ファンが付くのは、圧倒的な差別化。
  完成度は低くても、
  メジャーでは味わえない、
  オリジナルの発揮して、
 一点突破の才能を魅せよう。  
  
 
弱者の戦略で連想したのは、映画でなくプロテニスでした。
↓やる気なさすぎ?な天才! テニス界の異端児・伊藤あおいがヤバい!

戦略とは戦いを省略すること。ヤルことと同時に、ヤラないことを明確にする。
 体力勝負はやらない。
 多面的にコートを使う、
 駆け引きで勝つ。 
USオープンではフィジカル面の弱点も露呈したかな、残念でしたが、
生き残る場所を見つけて、他とは違う特徴を圧倒的に伸ばす。
 
 
インディ系の映画で成功例は、、
 「カメ止め」「侍タイムスリッパー」は同系統で、
   脚本から面白く、工夫を魅せる。
   ほとばしる情熱の、インディの映画製作の裏側も描き、
   役者陣は無名でも、スターに負けない熱演を披露。
  強者に成れるかどうかは、次回作以降。
 
 「ベイビーわるきゅーれ」は、
   絶滅した本物のアクションで、訴訟のハリウッドでは無理。
   箸休め的な日常の会話は、ダウー系でセンス溢れる。
   お話はしっかりとバディもの定番の期待を裏切らない。
  メジャーに羽ばたき、嬉しい。
 
 
最近観たインディ系の成功を思い浮かべれば、
 「米寿の伝言
   劇場公開自体が勝利の証。
   家族の物語そのものが広がりファン獲得。クオリティは二の次。
   次回作の体力はもう残ってないだろうけど。

 「水の中で深呼吸
   劇場公開にまで繋がれば勝ち。
   脚本兼プロデューサのグリップが素晴らしい。
   スタッフはプロの仕事、エゴを出さない(出させない)。
   役者陣は等身大のリアルを能く表現。
   ご当地のメリットを最大限発揮。

 「サイボーグ一心太助
   安定の河崎実ブランド。客は作品の質を気にしない。
   ご当地の良さが伝わるホノボノ。(”こんな店”のセリフは頂けないが)
   地元と関係よく、楽しそうでなにより。

 「劇場版モノノ怪
   TV版からクリエータが才能を発揮。 
   オリジナルとは揉めたが、それでも再起。
   ファンを失わずに継続に成功。
   脚本家も登用してゆき、作品全体の品質も安定してる。はず。 

 「JUNK WORLD
   全てが異能で圧倒的、追随を許さない。
   中途半端に組織と関わらなくて、本当に良かった。(客としては)
   世界にどこまで羽ばたくか、売ってくれる人次第。
 
 
インディとは呼ばないけど、低予算系では、
 「きさらぎ駅 Re:」 
   ファンは既に付いている。
   期待を裏切らない、低予算で同じ顔ぶれ。
   前作踏襲しつつ、新たな工夫も楽しい。

 「見える子ちゃん
   原作ファンの予想の上をゆく物語で納得。
   監督の原作理解の深さが結実。
   宣伝手法も低予算ながら適切。
   役者陣含め、原作愛の溢れる制作者ばかり。っぽい。

 
自主製作から大成した監督も挙げれば、
 「
   原作理解度の高さと、映画化の適切な追加。
   主演は余人を持って変え難い当て書き。
   スタッフも気合い入りまくりの座組に成功。
   狙った賞も適切。芸術性とエンタメのバランスが良い。
 
 
いろんな圧力に影響受けず、居場所を見つけ、
創り手は、他とは違う魅力を発揮している。
この環境が、いつまでも残って欲しいと切に願う。
 
 
興行的な意味で失敗例は、
シン・仮面ライダー」かもしれない。 
 庵野ファンの期待は裏切る。
 偏愛の爆発は、それを楽しめる人だけ楽しめる。
 監督はアクションの門外漢で、スタッフと食い違い、リソースを無駄に消耗。
うーん、個人的には、
こんなインディの実験映画撮ってくれて、面白いんだけれどなぁ。
既存のファン喜ばせても、予定調和過ぎてしまいそう。
もっと、
どインディで偏愛&才能を爆発させてくれないかな。
もう趣味でいいじゃん。会社には充分な自立した人材居る。はず。
 
 
インディは、
 自由な才能の発現と、
 プロデューサ的な客観視との、
バランスから成り、
全て揃えば、宮崎駿&鈴木Pのように、
小型低位株から10倍株みたいな夢物語も。
 
本作は、
 クリエータの才能にも、
 プロデューサの思考にも、 
疑問は残るものの、観てないから断定は出来ない。
 
逆に、
巨大な資本の力で成立して、製作は潤って、疲弊してないのなら、
それはそれで、めでたしだと思う。
4℃は発注元の意向を満たし、職人に徹しているのかもしれない。 
  
 
 
曲はイイんだけどなぁ。

確かに、AIっぽい作画かもしれない。
 
 
 
2025.08.28 11:30 現在
 20MA付近でまだ膠着状態と見る。
 ゆっくりと、間違わず追ってゆきたい。

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